築地市場からの移転先となる豊洲市場について、東京都は土壌汚染対策として市場の敷地全体に高さ4メートル余りの盛り土を行ったと説明していましたが、主要な建物が建つ部分では実際には盛り土がされていなかったことがわかりました。小池知事は、10日午後にも記者会見を開いて詳細な調査を始めることを明らかにする方針ですが、これまでの都の説明が事実と異なっていたことで、市場の移転計画に影響することも予想されます。
築地市場の移転先となる豊洲市場では平成13年以降、敷地内の土壌から環境基準を大幅に上回るベンゼンなどの有害物質が検出されたことがわかり、東京都はおよそ850億円をかけて汚染された土壌の入れ替え工事を行いました。そして、敷地全体に高さ4.5メートルの盛り土を行ったと説明し、おととし11月、安全性を確認したと公表しました。
しかし、小池知事が豊洲市場への移転の延期を表明した直後の今月初め、東京都が改めて確認したところ、敷地全体のうち、水産卸売場など主要な建物が建つ部分の地下では実際には盛り土がされていなかったことがわかったということです。
小池知事は、10日午後にも記者会見を開いて詳細な調査を始めることを明らかにする方針です。
市場の移転をめぐっては、小池知事が豊洲市場の安全性の確認が不十分だとして先月、移転の延期を表明し、新たな移転の時期については、来年1月に出される水質調査の結果などを踏まえ、判断するとしていました。しかし、都がこれまで行ってきた土壌汚染対策についての説明が事実と異なっていたことで、市場の移転計画に影響することも予想されます。
築地市場協会会長 「怒り心頭」
当初の予定どおり11月7日の豊洲市場への移転を求めてきた、築地市場の市場業者の団体で作る「築地市場協会」の伊藤裕康会長は「報道を見てびっくりした。東京都は、なぜ、事前に、われわれや都民にきちんと説明しなかったのか。今になってこの様はなんだという思いと、何でちゃんとやらなかったのかという思いで怒り心頭だ」と述べました。その上で伊藤会長は「東京都は、安全への意識が欠けている。都の責任者からは、実際どのような工事をして、安全対策はどうなっているのかさまざまな証拠を示してもらいながら、明確な説明を求めたい」と述べました。
移転慎重派の仲卸業者 「やっぱりそうだったのか」
67年間、築地市場で水産物の仲卸業を営む会社の関戸富夫社長は、移転に慎重な立場で、延期を求めてきました。関戸社長は、「報道を見て、『やっぱりそうだったのか』と思った。食品を扱う以上、土壌の問題も含めた安全が確保されないままの豊洲への移転は考えられない」と話していました。
引用:NHK