那須町湯本のスキー場付近で登山講習会に参加していた大田原高山岳部の生徒ら8人が死亡した雪崩事故で、講習会の責任者だった県高校体育連盟登山専門部の猪瀬修一(いのせしゅういち)専門委員長(50)が29日、県庁記者クラブで事故後初めて記者会見し「絶対安全と判断した。引率教諭2人と相談した」などとラッセル訓練を実施した経緯を説明した。当初予定した登山を中止しラッセル訓練に切り替える過程で、危険性を指摘する意見はなかったとした。一方、県教委は同日、検証委員会の設置を発表。県警も関係者の事情聴取を進めており、判断と事故との因果関係などの捜査を進めている。
猪瀬委員長によると、相談したのは前専門委員長で真岡高の渡辺浩典(わたなべひろのり)教諭(53)と現副委員長の菅又久雄(すがまたひさお)教諭(48)。菅又教諭は事故当時、大田原高生で編成した1班の先頭を歩き雪崩に巻き込まれた。渡辺教諭は1班の北東側後方の2班(真岡高)で先頭を歩いていた。
雪崩発生前の27日午前6時ごろ、スキー場近くの本部(旅館)にいた猪瀬委員長がスキー場にいた2人と携帯電話で話し合い、天候を踏まえ登山からラッセル訓練に切り替えた。約1時間半後にスキー場で再び話し合い、実施を最終的に決めたという。
「絶対安全」と判断した理由について、猪瀬委員長は「雪は強くなく、風もほとんどなかった」と説明。雪崩注意報が出ていたのは認識していたが「雪崩が起きやすい場所は知っていた。そこに近づかなければ大丈夫だと思った」などと振り返った
猪瀬委員長が雪崩を知ったのは発生の約45分後。訓練中は本部におり、旅館の精算などをしていた。その際、現場の連絡を受ける無線を車に置き持っていなかったといい、「不用意だった」と話した。
雪に埋まっても電波で位置が分かる「ビーコン」を参加者が持っていなかったことは、「雪崩の危険が高い冬山登山では必須だが、高校生の講習会では全国的にも持っていかないと認識している」などと述べた。
一方、県教委は29日、検証委員会を設置することを発表した。学識経験者や登山、消防、警察、医療関係者など15人で組織し、事故の原因や問題点などを検証するとした。4月上旬に委員会を開催予定だが、検証結果の公表時期は未定。
業務上過失致死傷容疑で捜査している県警の特別捜査班は30日にも、現場検証を行う予定。
引用:下野新聞
0 件のコメント:
コメントを投稿