東京商工リサーチ
2018年3月期決算 単独決算ベース「銀行114行 預貸率」調査
上記の報告書を読んで個人的に注目した点を記載しました。
読み解くための今回の注目ワードは「預貸率」です。
預貸率(よたいりつ)
預貸率が低いのは民間企業での資金需要が低いことを示す。銀行が融資の不良債権化を懸念して、中小企業や零細企業への貸し渋りを行うことも預貸率の低下要因になる。
預貸率が低いと、銀行は余剰資金を国債などの金融商品で運用することになり、逆に、預貸率が100%を超えると資金を借り入れていることになる。
預貸率(よたいりつ)=銀行が高いと、銀行も儲かっている。
これに対し、大手銀行9行は低下が8行、上昇が1行で預貸率の低下行がほとんど。大手銀行の2018年3月期決算では、預金総額が前年同期より2.8%増だったのに対して、総貸出金は1.0%減と前年同期を割り込み、貸出が低迷した。
これに対し、大手銀行は取引先の大手企業の業績改善に加え、株式や債券市場など資金環境の緩和で貸出が伸び悩み、全体の比率を押し下げる構図を形作った。
このように銀行の預貸率は「大手」と「地銀・第二地銀」とで温度差が際立っている。いずれは比率低下に歯止めがかかるとみられるが、大手企業の資金需要が盛り返す段階になく、全体の預貸率が上昇ラインを描くにはしばらく時間が必要とみられる。
経済がデフレから脱却するためには、企業が融資を受けて資金を設備投資等に回し、競争力を強化することで経済を活性化することが鍵となり、そうした状況下では預貸率が高まる。
預貸率が低いと、銀行は余剰資金を国債などの金融商品で運用することになり、逆に、預貸率が100%を超えると資金を借り入れていることになる。
銀行の預金に対する貸出金(融資)の比率を示す数値であり、「貸出金÷(預金+譲渡性預金)×100(%)」で計算する。
つまり、
預貸率(よたいりつ)=銀行が高いと、銀行も儲かっている。
となります。
そこで、今回の東京商工リサーチの分析をみると。
約7割の銀行で預貸率が上昇
114行のうち、前年同期より預貸率が上昇したのは77行(構成比67.5%、前年同期75行)で、前年同期より2行増えた。伸び率トップは、熊本銀行の11.27ポイント上昇(79.65→90.92%)。次いで、清水銀行6.32ポイント上昇(74.90→81.22%)、三菱UFJ信託銀行5.80ポイント上昇(67.87→73.67%)、長崎銀行5.76ポイント上昇(96.31→102.07%)と続く。
地区別、最高は九州の79.34%
熊本銀行は、熊本地震の影響を受けた融資先の復旧が進み、貸出金を伸ばした。清水銀行は、貸出金は増加したが、公金預金の減少などで相対的に預貸率が上昇した。
一方、前年同期より預貸率が低下したのは36行(構成比31.5%、前年同期39行)、同率が1行だった。
一方、前年同期より預貸率が低下したのは36行(構成比31.5%、前年同期39行)、同率が1行だった。
地区別、最高は九州の79.34%
本店所在地の地区別の預貸率で、最も高率は地銀・第二地銀の統合連携が進んでいる九州21行の79.34%。次いで、中部14行が75.57%、中国9行が75.15%、北海道2行が74.94%、近畿11行が73.28%、関東(東京を除く)19行が72.05%、四国8行が71.20%、北陸6行が70.78%、東北13行が63.38%、東京11行が58.94%の順。また、前年同期比では、全国10地区のうち、東京、北陸、近畿を除く7地区で預貸率が上昇した。
業態別、地銀・第二地銀が上昇、大手銀行が低下
業態別の預貸率は、地銀64行が73.93%(前年同期72.92%、前年同期比1.01ポイント上昇)、第二地銀41行が76.23%(同75.06%、同1.17ポイント上昇)だった。これに対し、大手銀行9行は59.07%(同61.43%、同2.36ポイント低下)と前年同期を下回った。
地銀64行のうち、預貸率が前年同期より上昇したのは50行(構成比78.1%)、低下が14行(同21.8%)で、預貸率の上昇行が約8割にのぼった。第二地銀41行では、上昇が26行(同63.4%)、低下が14行(同34.1%)、同率が1行で、第二地銀も預貸率の上昇行が6割を占めた。
これに対し、大手銀行9行は低下が8行、上昇が1行で預貸率の低下行がほとんど。大手銀行の2018年3月期決算では、預金総額が前年同期より2.8%増だったのに対して、総貸出金は1.0%減と前年同期を割り込み、貸出が低迷した。
銀行114行の2018年3月期の預貸率(単純平均)は、2011年以降で最低を記録した。ただ、預貸率の中央値(データを昇順または降順に並べ、真ん中に位置する値)は、2018年3月期が73.79%(前年同期比0.84ポイント上昇)で、預貸率は底上げ傾向がみて取れる。これはマイナス金利の導入以降、地銀と第二地銀は高リスクながら一定の収益が確保できる地元密着型の貸出を強化し、特に不動産・アパートローン向けの融資拡大が預貸率上昇の原動力になった。
これに対し、大手銀行は取引先の大手企業の業績改善に加え、株式や債券市場など資金環境の緩和で貸出が伸び悩み、全体の比率を押し下げる構図を形作った。
このように銀行の預貸率は「大手」と「地銀・第二地銀」とで温度差が際立っている。いずれは比率低下に歯止めがかかるとみられるが、大手企業の資金需要が盛り返す段階になく、全体の預貸率が上昇ラインを描くにはしばらく時間が必要とみられる。
つまり、九州の景気は今後も日本国内で一番よいと考えられ、
投資先は、東京より地方を見極めて投資するという戦略もありなのでは?
引用
証券用語解説集 預貸率(よたいりつ)
https://www.nomura.co.jp/terms/japan/yo/A02298.html
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