[サンフランシスコ/ニューヨーク 6日 ロイター] - 米株式市場は秋になると、経済のファンダメンタルとは異なる要因で価格変動の度合いが大きくなる場面がありそうだ。
主要株式指数や上場投資信託(ETF)が企業を分類する際に使う世界産業分類基準(GICS)が変わって、フェイスブック(FB.O)やアルファベット(GOOGL.O)の分類が「情報技術」ではなくなり、セクター別に投資するファンドも保有銘柄の入れ替えを余儀なくされるためだ。GICSは9月28日に変更される。
基準見直しに伴い大量の資金が短期間に移動し、市場は混乱が見込まれる。既に一部のファンドはセクター別ETFの構成銘柄の変更を開始するなど、対応に着手した。
ダブル・ダイヤモンド・インベストメント・グループのアンドルー・ボンダー社長はGICS変更に伴う資金移動について「差し引きでは売りが勝るだろう」と予想。「これは一時的な動きで、売られた銘柄は買いを入れる絶好の機会になる」と述べた。
GICSはS&Pダウ・ジョーンズ・インデックスとMSCIが1999年から策定。全産業を11のセクターに分類し、ポートフォリオマネジャーに広く利用されている。最近は2016年に「金融」セクターから「不動産」セクターが分離された。
今回の見直しでは、従来型の通信事業者であるAT&T(T.N)やベライゾン・コミュニケーションズ(T.N)などが属する「電気通信サービス」セクターの名称を「通信サービス」に変更。フェイスブックとアルファベットが「情報技術」から「通信サービス」に移る。
また、現在は「一般消費財」に分類している米ウォルト・ディズニー(DIS.N)やコムキャスト(CMCSA.O)、ネットフリックス(NFLX.O)も「通信サービス」に組み入れる。
こうした見直しにより「通信サービス」セクターがS&P総合500種に占める比率は10%程度となる。「電気通信サービス」は2%以下だ。
トムソン・ロイター傘下リッパーのデータによると、科学・ハイテク分野に投資する米ETFの運用資産は780億ドルで、その多くがアルファベットとフェイスブックの株式を保有している。一方、分類変更に伴ってこうした旧情報技術分類株を購入しなければならない通信セクターETFの運用資産規模は40億ドル程度に過ぎず、何らかの策を講じなければ市場のボラティリティは高まるだろう。
CFRAのETF・ミューチュアルファンド調査部門のディレクター、トッド・ローゼンブルス氏は「買いや売りの圧力が発生するという理由だけで、ファンダメンタルズとは関係なく取引されるだろう」と話す。
また、分類の見直しによってセクターごとの業績の伸びや株価収益率が大きく変わり、投資分析も難しくなる。通信セクターの配当利回りは5%超から1%に下がる見込みだ。
エクスチェンジ・キャピタル・マネジメントのポートフォリオマネジャー、アンドルー・スチュアート氏は「GICSの見直し自体は極めて合理的かつ理論的だ。しかし一般市民の退職金計画が必要としていることには注意を払わないで策定されている」と述べた。
引用:ロイター
https://jp.reuters.com/article/us-stocks-facebook-sector-analysis-idJPKCN1J306P
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